育休

1年間の育休、職場とどう向き合ったか【男性地方公務員 取得までの道のり】

赤ちゃんの手

2024年4月、妻の妊娠が判明し、12月下旬が出産予定日となりました。

不妊治療の末に授かった命。

妻の妊娠は、喜びとともに、家族のあり方やこれからの働き方について、あらためて深く考えるきっかけとなりました。

今回は1年間の育休を取得するまでに、公務員の職場とどのように調整したか、その過程の記録です。

これから育休取得を考える男性、特に公務員の方にとって、少しでもお役に立てば幸いです。

妻の妊娠判明、上司への最初の相談

2024年5月、妻のつわりが本格的に始まりました。

日常生活もままならない日が続き、通院の付き添いや家事のサポートのため、年休を取る必要が出てきました。

ちょうどそのタイミングで、直属の上司と面談する機会を得ました(5月10日)。

その場で、妻の妊娠と現在の体調について率直に話し、年休取得の必要性を上司に説明しました。

上司からは、「家庭あっての仕事。家庭を優先して」という温かい言葉をいただき、胸を撫で下ろしました。

ただ、育休についての話題は出なかったため、こちらから切り出すことにしました。

私:「育休も最大1年程度考えています。安定期に入る7月頃に改めて相談させてください。配置などで早めに調整が必要であれば、時期を前倒しで相談します」

上司は真顔で「はい」と一言。 突然の話で驚かれたのかもしれません。



 1年間の育休取得を決意、所属長との面談

育休期間を「1年間」と伝えた理由

6月に入り、上司に別室へ呼ばれ、育休期間について確認の質問がありました。

そこで私は、「1年間」と伝えました。

実はこの時点で、妻と最終的な期間について結論は出ていませんでした。

しかし、後から期間を短くすることは容易ですが、延長することはハードルが高いと考え、育休手当が支給される最大の期間「1年間」を希望しました。

所属長との面談

翌日には早速、課長(所属長)と面談しました。

「1年間、了解した。人事課に、育休代替職員の配置を要請する。そのため、申請手続きの書類を早めに私(課長)に提出してほしい。1年間であれば、育休代替職員は来るはず」

「引き継ぎのことはまだ先だから、今は気にしないで」

とのことでした。

育休手続きに関する内部資料一式を用意してくださっていました。

手続きを開始

6月7日、正式に育休申請を課長へ提出しました。

8月16日に、育児支援計画書類(家庭の状況や子育ての計画などを記載するもの)を提出。

8月23日に、課長、直属の上司と3人で面談し、9月早々に係内で報告する段取りとなりました。



育休報告に対する周囲のリアルな反応

係内での報告と、心無い言葉

9月に入り、直属の上司と係員3人に集まってもらい、係内で1年間の育休取得を報告しました。

上司に報告する以上に、緊張しました。 しかし、その場では特に反応がなく、肩透かしでした。

報告が終わり、解散した直後、50代の男性の同僚が上司を呼び止めて何やら話していました。
声が大きい方で、「私は文句を言う立場じゃないけど、管理職は怒ってもいいんじゃないか」といった声が聞こえてきて、悲しい気持ちになったことを覚えています。

たった一人の「おめでとう」が励みに

それ以降、仕事で関わる他の同僚に、私から報告していきました。
1人だけ、「権利なんだから、取ったらいい。おめでとう」と声をかけてくれた方がいました。
職場で「おめでとう」と言ってくれたのはその方1人だけでしたが、とても励みになりました。



【課題発生】育休の代替職員が来ない問題と引き継ぎ

11月に入り、上司から、育休代替職員が確保できないという報告を受けました。
代替職員の応募が少なく、やむを得ないとのことでした。 代わりに、1月から会計年度任用職員(パート職員のようなもの)を配置予定との話を受けました。

業務の見える化と引継書の準備

それに伴い、私の業務を整理し、どこまで会計年度任用職員に引き継げるか、リストアップすることになりました。

自分の仕事を洗い出し、年間スケジュールを用意するなど、業務の見える化に努めました。 引き継ぎ書の準備は、前年から着手しており、業務の合間に加筆修正していきました。
12月には、個別に引き継ぎを実施しました。課内の皆さんも快く受け入れてくださり、有り難かったです。

1月に引き継ぎ

12月下旬に息子が誕生。家事と育児でバタバタのなか、会計年度職員への引き継ぎのため、1月8日に登庁しました。 この日は、上の娘を一時保育に預けており、その送迎もあって、かなりバタバタしたことを覚えています。



 1年間の男性育休を取得して思うこと

家族のため、自分のために育休を取るという選択は、簡単ではありませんでした。

制度としては存在していても、実際に男性が1年間取得するとなると、周囲の理解や調整には想像以上のエネルギーを使うことを痛感しました。

特に、正規の代替職員が来ないことがわかった時には、「職場に迷惑をかけてしまう」と動揺もありました。

それでも、一歩踏み出せたことに後悔はありません。 「男性だから」「忙しいから」とあきらめることなく、声を上げてよかったと、思える経験になっています。

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